認知症は、「こころとからだのしくみ」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」のどの科目からも出題される横断テーマです。出題数が多いわりに、答えの原則は一貫しているので、押さえれば得点源になります。

中核症状とBPSDを分ける

まずこの区別からです。試験で直接問われます。

中核症状 BPSD(行動・心理症状)
原因 脳の細胞がこわれることで直接起こる 不安・体の不調・環境などが引き金
現れ方 だれにでも共通して現れやすい 人によってちがう。出ない人もいる
例 記憶障がい、見当識障がい 落ち着かない、怒りっぽい、歩きまわる、物を集める
対応 生活の工夫でおぎなう 原因をさがして取りのぞく

見当識障がいとは、今日の日付、今いる場所、目の前の人がだれかがわからなくなることです。「見当識」ということばも試験に出ます。

BPSDは必ず原因があります。痛い、寒い、トイレに行きたい、知らない場所で不安——こうした理由が行動になって現れます。だから対応は「行動を止める」ではなく「理由をさがす」になります。

対応の4原則

認知症の問題は、この4つで答えが決まります。

1. 否定しない

事実とちがうことを言われても、間違いを正さない。

  • ×「ちがいますよ、息子さんはさっき帰りましたよ」
  • ○「息子さんに会いたいんですね」

強い否定は、不安と混乱を大きくします。本人にとっては、それが事実として感じられているからです。まず気持ちを受け止めるのが正解です。

2. 短く、ゆっくり、一つずつ

一度にたくさんの情報を覚えるのがむずかしくなります。

  • ×「お風呂に入ったら、着がえて、そのあとお昼ごはんですよ」
  • ○「これからお風呂に入りましょう」

伝えるのは一つだけ。終わったら次を伝えます。

3. 環境を変えない

認知症の人は、環境の変化にとても弱いです。引っ越しや施設への入所で混乱や不安が強くなり、症状が悪化することをリロケーションダメージといいます。

対応は、なじみのある環境をつくること。

  • 使いなれた家具、いつもの湯のみ、家族の写真を置く
  • 部屋の配置をむやみに変えない
  • 担当する職員をできるだけ変えない

4. できることを奪わない

認知症でも、できることはたくさん残っています。とくに昔から体で覚えている動作(洗濯物をたたむ、野菜を洗う)は続けられることが多いです。

「わからないだろうから」と全部やってしまうのは誤りです。ここでも自立支援が原則です。

記憶の特徴を利用する

老化と同じく、認知症でも新しいことは覚えにくく、昔のことはよく覚えているという特徴があります。

これは対応に使えます。昔の話を聞くのは、認知症の人にとって話しやすく、落ち着ける良いコミュニケーションです。試験でも「昔の話を聞くのは良いかかわり」という形で出ます。

逆に「さっき言ったでしょう」「もう食べましたよ」と新しい記憶を問うのは、本人を追いつめるだけです。

場面別の対応

同じことを何度も聞かれる

不安の表れであることが多いです。そのつど、はじめて聞かれたようにおだやかに答えます。「さっきも言いました」は誤りです。

歩きまわる

「家に帰りたい」「トイレを探している」「じっとしていられない」など理由があります。危険がなければ止めず、付きそって理由をさぐります。閉じこめる、体をおさえるは身体拘束でNGです。

落ち着かない、そわそわする

尿意・便意のサインかもしれません。言葉で伝えられない人は、行動でサインを出します。トイレに誘ってみるのが正解です。

食べたのに「まだ食べていない」と言う

否定せず、気持ちを受け止めます。「もうすぐ用意しますね」と伝えて、お茶を出すなど、待てる工夫をします。「さっき食べたでしょう」は混乱を強めます。

介護を拒否される

無理に進めません。時間をおく、担当を変える、誘い方を変える。拒否には理由(怖い、恥ずかしい、痛い)があります。

選択肢の見分け方

ほぼ誤り ほぼ正解
間違いを正す・注意する 気持ちを受け止める
一度にまとめて説明する 短く、一つずつ伝える
行動を止める・おさえる 理由をさがす
全部やってあげる できることは続けてもらう
環境を新しくする なじみのある物を置く

練習問題で確認する

認知症の問題は「こころとからだのしくみ」と「コミュニケーション技術」に多く入っています。

→ こころとからだのしくみ 20問 / コミュニケーション技術 15問

関連: こころとからだのしくみの対策 / 介護の基本の対策 / コミュニケーション技術の対策