飲食店の試験とちがい、食品工場の試験では労働安全衛生が大きな比重を占めます。工場には動く機械、刃物、重い荷物、薬品、低温と高温があり、けがの起こり方が店とはちがうからです。
答えの基準はひとつです。「人の安全が、製品や時間より先」。 どの問題も、これで解けます。
機械
工場のけがで最も多いのが、動いている機械に手を入れたことによる巻きこみです。
- 機械の中に手を入れるときは、必ず電源を切り、完全に止まったことを目で確かめる
- スイッチを切っても、機械はしばらく惰性で回り続けます
- 棒を使えばよい、すきを見ればよい、ではありません
- 清掃・点検のときは、工場の決まりにしたがって「使用禁止」の表示を出します
安全カバーは外したまま使わない。 外すと作業は速くなるように見えますが、回る部分や刃に手が届くようになります。外れているカバーを見つけたら報告します。
刃物
- スライサーなどでは、材料を手で押さえず、決められた押し具を使う
- 使い捨て手袋は切り傷をふせぎません。切創には防刃手袋を使います
- 刃の掃除・交換は、電源を切って完全に止めてから
- 切れ味の落ちた刃は、力を入れて押しがちで、かえって危険です。交換を申し出てください
保護具
危険の種類ごとに使い分けます。
| 危険 | 保護具 |
|---|---|
| 刃物 | 防刃手袋 |
| 薬品 | 保護めがね、厚手の手袋 |
| 冷凍庫 | 防寒着、手袋 |
| 大きな音 | 耳せん、耳あて |
| 重い物・落下 | 安全ぐつ |
慣れたころが最も事故の多い時期です。 慣れても外しません。
腰痛をふせぐ
- ひざを曲げて腰を落とし、荷物を体に近づけて持ち上げる
- ひざを伸ばして腰だけを曲げると、腰に大きな負担がかかります
- 持ったまま体をひねらない。足の向きを変えて向きなおします
- 一人で持てない重さは、二人で運ぶか台車を使う。助けを頼むのは迷惑ではありません
日本語では「すみません、手伝ってください」「重いので二人でお願いします」で伝わります。
運搬とフォークリフト
- 台車は押して使う。引くと足をひかれ、後ろが見えません
- 前が見える高さまでしか積まない
- 曲がり角や出入り口は見通しが悪いので、速度を落として声をかける
- フォークリフトは荷物で前が見えにくく、後ろに死角があります。運転者に見えていると思いこむのが最も危険です。決められた歩行者通路を歩き、目が合ったことを確かめてから前を通ります
- 荷物やフォークの下は絶対に通らない
転倒
食品工場は水を多く使うため、転倒が起きやすい職場です。
- 床がぬれていたらすぐにふき取る。できないときは注意表示を置き、責任者に伝える
- 自分が気をつけても、走ってきた人や荷物を持った人は気づけません
- 滑りにくい長靴をはく
温度
- 冷凍庫:防寒具を使い、長時間続けない。中に人がいることを外に知らせ、内側から開けられるか確認しておく(閉じこめの防止)。ぬれた手で冷えた金属をさわると皮ふがはりつきます
- 蒸気・熱湯:ふたを開けるときは顔をそらし、手前からゆっくり開ける。ぬれた布は熱を通すので、熱いものをつかんではいけません
- やけどをしたら、すぐに流水で十分に冷やし、必ず報告する
薬品
- 塩素系と酸性を混ぜない。有毒なガスが出て、命にかかわります。容器に「混ぜるな危険」と書かれています
- うすめる濃度と順番は決まっています。濃くすれば効くわけではありません
- 目や皮ふについたら、まず大量の流水で洗い、そのあとすぐ報告する。こするとかえって傷つきます
- 薬品は食品と別の場所に、表示のある容器で保管します。ペットボトルなどに移しかえてはいけません
ヒヤリハット
けがには至らなかったけれど「ひやりとした」「はっとした」出来事をヒヤリハットといいます。同じ場所で何度も起きていると、いつか本当の事故になります。けががなくても報告するのが決まりで、報告した人が責められることはありません。
事故が起きたとき
- 機械を止める(被害を広げない)
- 大声で人を呼ぶ
- 責任者に知らせる
一人で無理に動かすと、けがが重くなることがあります。日本語が出てこないときは「たすけて」「きゅうきゅうしゃ」で伝わります。
火事・地震
- 非常口と避難通路には物を置かない。「少しの間」のつもりが置きっぱなしになります
- 消火器の場所と使い方を、火事が起きる前に確かめておく
- 地震のときは、まず頭を守り、倒れそうな棚や動いている機械から離れる。ゆれている間に走ると転びます
- ゆれが収まってから、責任者の指示にしたがって避難します。製品より人の安全が先です
体調と表示
- ねむけや強い疲れは注意力を下げます。作業前に体調を伝える方が、工場としても助かります
- 暑い場所では、のどがかわく前にこまめに水分をとる
- 「立入禁止」「使用禁止」「高温注意」などの表示が読めないまま作業するのが最も危険です。聞くのははずかしいことではありません
練習問題で確認する
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