介護職の大事な仕事のひとつが、利用者の変化に早く気づいて、医療職につなぐことです。試験でも「この場面でどうするか」という形でくり返し問われます。答えのほとんどは**「すぐに報告する」**ですが、その前に「何を見て気づくか」を知っておく必要があります。
バイタルサインとは
**「生きているしるし」**という意味です。次の4つ(意識を入れることもあります)。
| 項目 | 読み | 何を見るか |
|---|---|---|
| 体温 | たいおん | 熱があるか、低すぎないか |
| 脈拍 | みゃくはく | 速さ、リズムの乱れ |
| 血圧 | けつあつ | 高い/低い、いつもとの差 |
| 呼吸 | こきゅう | 速さ、苦しそうか |
大事なのは数値の暗記ではない
試験で問われるのは「正常値はいくつか」ではなく、**「いつもの値と比べて変化に早く気づくこと」**です。
同じ体温37.2℃でも、いつも36.2℃の人なら大きな変化、いつも37.0℃の人なら通常の範囲かもしれません。その人のいつもを知っていることが、介護職の強みです。
いつもとちがえば、すぐに看護師などに報告する。 これが答えです。
バイタル以外の観察ポイント
数値に出ない変化のほうが、実は多いです。
| 見るところ | 気づくこと |
|---|---|
| 顔色・表情 | 青白い、赤い、苦しそう、元気がない |
| 食事の量 | いつもより残す、食べるのが遅い |
| 水分の量 | 飲んでいない |
| 尿の量・色 | 少ない、濃い |
| 便 | 出ていない、下痢 |
| 皮膚 | 発赤、かさかさ、傷 |
| 動き | ふらつく、立ち上がりにくい |
| 会話 | ぼんやりしている、話が通じにくい |
| 睡眠 | 眠れていない、昼間に寝てばかり |
見逃してはいけないサイン
脱水
高齢者はのどのかわきを感じにくく、体の水分も少ないため、脱水になりやすいです。
サイン: 尿の量が少ない/皮膚や口の中がかさかさ/ぼんやりしている
予防: のどがかわく前に、時間を決めてこまめに水分をすすめる
熱中症
暑い日に「頭が痛い」「体がだるい」と言われたら疑います。
対応の順番
- すずしい場所へ移動
- 水分と塩分をとってもらう
- 首やわきの下を冷やす
意識がない/水が飲めない → すぐ救急車
低栄養
食べる量が減ると、体重が減り、筋力と免疫の力が落ちます。体重の変化をよく見ます。
誤嚥・むせ
食事中のむせ、食後の痰、微熱。誤嚥性肺炎につながります。
褥瘡(床ずれ)
発赤(皮膚が赤くなること)は初期のサインです。同じ場所が赤くなっていたら報告します。
報告のしかた
試験の「介護の文書」でも問われる形式です。事実を、短く、正確に伝えます。
良い報告
「〇〇さん、昨夜から食欲が低下しています。夕食は3割、朝食は2割でした。水分はとれています。体温は36度8分です。」
悪い報告
「〇〇さん、なんだか元気がない気がします。たぶん風邪だと思います。」
ちがいは3つです。
- 具体的な事実(3割、2割、36度8分)を言っている
- 自分の診断(風邪)を言っていない
- いつからか(昨夜から)がわかる
介護職は診断しません。 気づいたことをそのまま伝えるのが仕事です。
介護職ができること・できないこと
| できる | できない(医療職の仕事) |
|---|---|
| 体温や様子を見て、記録・報告する | 診断する |
| 決められた薬を飲むのを手伝う | 薬を変える、量を判断する |
| 爪を切る(健康な爪) | 糖尿病の人・巻き爪・炎症のある爪を切る |
| 水分をすすめる | 点滴などの医療行為 |
迷ったら看護師に相談。これが常に正解です。
正解を選ぶ考え方
観察・報告の問題は、この順で考えれば当たります。
- 命に関わるか → 救急車(意識がない、呼吸が苦しい)
- いつもとちがうか → すぐ報告
- 自分で判断していないか → 判断は医療職
「様子を見る」「あとで報告する」「自分で対応する」は、ほぼ誤りです。
練習問題で確認する
→ こころとからだのしくみ 20問 / 安全衛生・感染予防 15問
関連: こころとからだのしくみの対策 / 安全衛生・感染予防の対策 / 体と症状のことば