HACCP(ハサップ)は、できあがった製品を検査するのではなく、作る途中で危険をふせぐ考え方です。全部を検査することはできないし、検査したときには製品はもうできています。だから、危ない工程を先に決めて、そこを見張ります。

何のためにあるか

工場の製品は一度に大量に作られ、広い範囲に届きます。1つの異常が数千個に及ぶこともあります。あとから「どこで何が起きたか」をさかのぼれるようにしておくことが、被害を小さくする唯一の方法です。HACCPは、そのためのしくみです。

流れをつかむ

手順 すること
危害要因分析 原材料から出荷まで、工程ごとに危険を洗い出す
CCP(重要管理点)を決める 洗い出した危険のうち、そこを外すと危険をふせげない工程を選ぶ
管理基準を決める 温度・時間・数値など、守るべき線を決める
モニタリング 決められた方法・頻度で測り、記録する
改善措置 基準を外れたときにする決まりごとを、先に決めておく
検証 しくみが実際に働いているかを、定期的に確かめる
記録 すべてを残す

危害要因の3つ

種類 例
生物的 細菌、ウイルス、寄生虫
化学的 洗剤・薬品の残留、アレルギー物質
物理的 金属片、ガラス、硬質プラスチック、毛髪

「危害要因に含まれないもの」を選ばせる問題が出ます。製品の見た目の良さ、値段、生産の遅れは、危害要因ではありません。

CCPとは

CCPは重要管理点です。加熱、冷却、金属検出などが例になります。

  • 加熱:菌を減らす最後の関門。ここを外すと、あとの工程では取り返せない
  • 冷却:加熱後にゆっくり冷ますと、生き残った菌がふえる時間ができる
  • 金属検出:中に入った金属を取りのぞける最後の工程

CCPは「気をつける場所」ではなく、外れたときに必ず決められた対応をする場所です。

基準を外れたら

温度が足りない、時間が短い、機械がはじいた——このとき作業者がすることは決まっています。

  1. その製品を止める(ラインに流さない、決められた場所に分けて置く)
  2. 責任者に報告する
  3. どのロットが対象かを確認する

自分の判断で「たぶん大丈夫」と流すのが、いちばんやってはいけないことです。廃棄するか、再加熱するか、検査に回すかは、責任者が決めます。

モニタリング・改善措置・検証のちがい

試験ではこの3つの区別が問われます。

ことば いつ すること
モニタリング 作業中、その場で 決められた方法・頻度で測って記録する
改善措置 基準を外れたとき 製品を止め、報告し、原因を直す
検証 定期的に、あとから 記録の見なおし、温度計の点検、しくみが働いているかの確認

記録の書き方

記録は「やった証拠」です。あとから証明できなければ、やっていないのと同じ扱いになります。

  • その場で書く。まとめてあとから書くと、記憶ちがいが起こります
  • 空欄のままにしない。測れなかったなら、その事実と理由を書きます
  • 推測値を書かない
  • 直すときは二重線。修正液で消したり、黒くぬりつぶしたりしない。前に何が書かれていたか分からなくなる直し方は、改ざんをうたがわれます
  • 直したら、日付と名前を残します

改ざんは、会社と自分の両方を危険にさらす行為です。 実際と手順書がちがうと気づいたときこそ、報告する場面です。

ロット番号と追跡

ロットは、同じ日・同じ材料・同じ機械で作った製品のまとまりです。ロットごとに番号をつけておくと、問題が起きたときにその範囲だけを止めたり回収したりできます。番号がなければ、全量回収になります。

だから記録には必ずロット番号を書きます。番号を書きまちがえると、追跡ができません。

金属検出機

  • 作業前と決められた頻度で、テストピースを流して反応するかを確認する。反応しなければ、前回の確認からあとの製品はすべて対象になります
  • 感度の設定は勝手に変えない。権限のある人が行います
  • はじかれた製品は、決められた場所に分けて置く。もう一度流して通ればよい、ではありません
  • 何度もはじかれるときは、原因(機械の部品の欠け、包材、原材料)を調べます

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